缶バッチは選挙活動にも利用されていた

そもそもバッジとは紋章や勲章を表すものです。最初は中世ヨーロッパで襟や胸に着けたことが始まりです。つまり名誉、権威、所属先を分かりやすく示すためのアイテムでした。今でも会社員や公務員の方々が所属する組織のバッジをスーツに着けている姿をよく見かけます。一方で缶バッジはカジュアルなイメージがあります。

缶バッジと言えばファッションやキャラクターやアーティストのグッズとして人気です。しかし最初は政治的な目的に使われていました。その歴史は1828年の大統領選にさかのぼります。その時初めて缶バッジが選挙の宣伝アイテムとして使われました。

キング・オブ・ロックンロールとして知られるエルヴィス・プレスリーですが彼も缶バッジを巧みに利用した人物です。「史上最も成功したソロ・アーティスト」とギネスブックで認定されるほど稼ぎましたが、ある方法を使って缶バッジで儲けました。正式に言うと彼のマネージャーが考えたアイディアですが2種類の缶バッジを売りました。まずは普通にエルヴィスの顔写真や「I Love Elvis」などエルヴィスを称賛する表現を用いたバッジを売りました。

安全ピンの缶バッチ写真

もちろんファンが買ってくれるので利益に繋がります。一方で同時に「I Hate Elvis(エルヴィスが嫌い)」と書いたバッジも売りました。エルヴィスの斬新なスタイルに疑問を唱えたり、彼の下半身を動かすダンスが卑猥だと批判する声も少なくありませんでした。熱狂的なファンが多い一方でアンチも多い人物でした。そのため「I Hate Elvis」と書いたバッジは彼のアンチに売れました。自分のことが嫌いな人が自分の為にお金を落としてくれてるのですから笑いが止まらなかったに違いありません。

こんな感じで缶バッジの歴史をたどると実は昔も今も使い方はそこまで変わっていません。しいて言うのであれば現在では印刷技術が向上してフルカラーや面白い反射をするデザインなどオリジナリティーの高いユニークなバッジが増えたことぐらいです。また最近では子供のおもちゃとして缶バッジ作成キットみたいなのが発売されています。スマホで撮った画像をそのまま印刷したり、少し加工したりしも出来ます。また近頃人気が出ているDIYでも缶バッジが注目されています。

最近では女性用ファッション誌の人気モデルがテレビでDIYをするなどDIYの印象がオシャレになりました。でもいきなり日曜大工というのはハードルが高いです。缶バッジなら安値で始めることが出来ます。また体力もそこまでいりませんし、机の上など小さいスペースでも出来ます。最近ではインスタグラムで自作の缶バッジを投稿する人も出てきています。